自費出版・流通出版・執筆のことなら文芸社へ

自費出版・流通出版は気軽にSite執筆・出版の応援ひろば
よむ人からかく人へ。ここは表現する人を応援する著者のための『ひろば』です。ご相談・お問い合わせは…「なんでも相談室」へ

執筆・創作・自費出版・流通出版のことなら【気軽にSite 執筆・出版の応援ひろば】トップへ > 書く歩く(第17回 番組表)

書く歩く(第17回 番組表)


第17回 番組表

 新聞のテレビ番組欄を眺めていたら、テレビ朝日の『報道ステーション』の内容が〔この日この時間おきている大きなニュース…〕となっていた。朝刊の休刊日で、番組表は前日につくられたものである。ニュースのように内容の予測のつかない番組はこのように対処するしかないわけだ。
 これを見て、懐かしい思いがした。20代の一時期、テレビ雑誌の記者をしていて、僕も番組表を埋める仕事をしていたからだ。
 初出社した日、口ひげをたくわえたデスクからいきなりドラマのシナリオを2冊渡され、「それぞれペラ(200字詰め原稿用紙)2枚ずつにリライトしてみて」と言われた。原稿を書き上げると、眼を通したデスクが、「こういう仕事まえにしてた?」ときく。「いいえ」とこえると、彼はしばらくなにか考えていたようだが、まあいいかという感じで、「きみはきょうからNHK担当だ」と言った。
 年末進行の期間だけ、僕はいちばん番組解説の欄が多いNHK班で、リライト記事だけをひたすら書くことになった。
 それが終了すると映画班に配属された。映画好きだったので、そのあたりの雑多な知識が買われたらしい。番組表を書いている記者が映画放送のワクを埋めるために時々僕のところにきた。局から渡された資料だけではワクを埋めきれない場合がある。「武田鉄矢の『刑事物語』であとひとり出演者いない?」ときかれ、「本編にクレジットはないんですが高倉健がワンシーン友情出演してます」なんてこたえるわけだ。
 番組表に空白などゆるされない。また、すくない文字数でどれだけ多くの情報を伝えるかも勝負だ。
 日テレ班に異動すると、系列地方局の番組表を書くこともしたが、東京ドームの出現で野球中継の雨天中止がなくなり、雨傘番組で埋めていた番組表にできる空白をどうするか編集部の話題になったのが懐かしい。
 そういえば、ラテ欄と呼ばれていた新聞の番組表からは、いまやラ(ラジオ)が消えてしまって、BS局の増えたテ(テレビ)のみが埋め尽くしている。


←前回へ | 
次回へ→


上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



バックナンバー