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書く歩く(第33回 R指定)


第33回 R指定

 前回、毎朝エアロバイクを漕ぎながら映画を観ることを書いた。 特に自分が10〜20歳代だった1970〜80年代のアメリカ映画を好むウエノは、ある朝のトレーニング時、『スタンド・バイ・ミー』(86年)をエアチェックしていた。
 原作は、スティーヴン・キングの『恐怖の四季』に収められた1編である。同書は、短編というにはちょっと長めの中編小説集で、「春夏編」「秋冬編」の2分冊で新潮文庫から刊行された。『スタンド・バイ・ミー』には『秋の目覚め』という副題が付いている。『恐怖の四季』というタイトルは、ホラー作家として固定読者のあったキングの本の売りやすさから付けられた邦題と思われる。原題は“Different Seasons”で、いずれの作品もいわゆる恐怖小説・怪奇小説の範疇に属さない。
 また、『スタンド・バイ・ミー』は映画化作品のタイトルで、公開にあわせての刊行で、原作が所収された「秋冬編」のカバーはスチールが使用されていた。小説のほうの原題は“The Body(死体)”である。物騒な題名だが、好奇心から轢死体さがしに行く、4人の少年たちの冒険が描かれている。
 久し振りに『スタンド・バイ・ミー』を再見して、作品そのものの懐かしさもだが、衛星放送での放映に際してPG-12に指定されていることに感慨を覚えた。PG-12は〔12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の助言や指導が適当〕という規定である。この種のレイティングシステムは、公開当時は採用されていなかった。
 たしかに、少年らが喫煙したり、ピストルを手にする場面があるし、親に黙って死体さがしに行くという行為そのものも、「マネしちゃいけないよ」ということにはなるのだろうけれど、なかなか口やかましい規定である。
 冒険を通じて主人公の少年らが成長する、あるいは諦観とともに少年時代に別れを告げるビルドゥングスロマン(教養小説)の風合いを備えた作品でもあるのだが、レイティングシステムの対象になるとは……
 思えばR指定なんてものもなく、大人も子どもも席を並べ、おんなじ映画を眺めていた80年代はおおらかな時代であった。


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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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