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書く歩く(第4回 命の恩人 ― ④)


第4回 命の恩人 ― ④

 伊豆とくれば温泉地である。どうせなら、と、夫婦で出かけることにして温泉旅行とシャレ込んだ。たとえわざわざ出かけて行って腰痛治療に効果が見られなくても、旅行したのだ、と考えればあきらめもつく。
 観光列車のスーパービュー踊り子で駅弁を食べながらという、完全に温泉旅行モードで現地へ。
「駅前からタクシーに乗って、運転手さんに治療院の名前を言えば、連れてってくれるみたい。とっても有名らしいですよ」とNさんから聞いていたのでそうする。
 しかし、運転手さんは、「そーいえば、そんな治療院の看板を見たような気がしたナ」という程度の反応で、道に迷ってしまった。「あ、もう1本向こうの道だ」と運転手さんが思い出したように言って、その“もう1本向こうの道”を目指している途中、偶然に目的の治療院の前を通りかかって到着。でも、親切な運転手さんで、途中でメーターを除外にしてくれていたので、初乗りの料金だけ払う。
 さて、そこでの治療の模様はここには書かないでおく。もしかしたら企業秘密につながるかもしれませんしね。
 ただ、僕のあとに治療の順番が入っているひとは大阪からくるというし、受付の電話が鳴って山口県から予約が入ったりと、全国の腰痛持ちの駆け込み寺といったところのようだ。その道ではやはり相当に知れ渡っているのだろう。
 治療を終え、宿泊する観光ホテルへ。ゆっくりと温泉に浸かり、夕食にはあらかじめ頼んでおいたオプションのアワビの踊り焼きも味わい、就寝まえにまた温泉に浸かった。「どうか座骨神経痛が治りますように」と祈りつつ。

 そうして、この治療後に左脚の痛みはほぼ消えたのである。1週間ほどしてから毎朝自宅で行っているエアロバイクのトレーニングを再開し、ストレッチなどをつづけているうちに足先のしびれもじょじょに消えていった。
 しかし、ここまで書いてきて、「命の恩人」はまだ登場していない。
(またまたつづく)

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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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