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書く歩く(第48回 名台詞の研究−②)


第48回 名台詞の研究−②

 第32回で書いた、映画を観ていて印象に残った台詞を紹介する2回目。
 2010年のアカデミー賞作品賞を受賞した『英国王のスピーチ』。吃音症に悩むアルバート王子(コリン・ファース)は、オーストラリア出身の言語聴覚師ローグ(ジェフリー・ラッシュ)の治療を受けるため、渋々彼のアパートを訪れる。
 タバコに火をつけようとする王子に、ローグは遠慮してほしいと言う。すると王子が、吃音治療を受けていた医師から、喫煙すると喉が滑らかになると言われたと訴える。
「バカな」とローグ。
「爵位がある医者だぞ」と反論する王子。
 これに対してローグは、「爵位級のバカだ」と一蹴する。そして、「私の“城”では、私のルールで」 と言い放つ。
 王室という権威に向けたこの一言は、庶民たる観客を快哉させる。

『グラディエーター』のリドリー・スコット監督とラッセル・クロウが再びコンビを組んだ『ロビン・フッド』。
 ロクスリー卿の襲撃現場に遭遇したロビン・フッド(クロウ)は、領主である彼の父親に形見の剣を届けてくれと虫の息で頼まれる。
 末期の願いを引き受け、今やロクスリー卿未亡人となったマリアン(ケイト・ブランシェット)のもとを訪れ、「ロビンだ」と名乗る。
 すると彼女が、「“卿”は付かないの?」と訊く。
「ただのロビンだ」
 さりげないけれど、いかにも一匹狼といった風貌のクロウが言うと、いや、カッコいい。彼には権威も身分も関係ない。

『ローマの休日』で、城を抜け出し、夜の街をさ迷うアン王女(オードリー・ヘプバーン)に、彼女の正体を知らない新聞記者(グレゴリー・ペック)が、家に帰るタクシー代はあるかと訊く。すると、「お金は持ちません」とオードリーが優雅に応えてみせる。
「いい習慣だ」と呆れるペック。
 身分違いというのであれば、こんなのもありか。

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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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