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書く歩く(第55回 ある日の野球観戦)


第55回 ある日の野球観戦

 東京墨田区の八広というところに生まれて、この地はジャイアンツファンが非常に多い。王貞治氏の実家のラーメン屋さん「五十番」があったためかもしれない。先日も、八広に住む母がバスに乗ったら、「王のおばです」という女性に話しかけられたという。
 さて、僕も誰に強制されたわけでもなくジャイアンツファンになった。そして一度ファンになると、この球団が呆れるような事件の主役になって、そのたびに応援するのはもうやめたと誓っても、なかなか思いきれるものではない。で、いまだに読売新聞の朝刊でナイターの結果を気にしている。時には東京ドームにも出かける。
 新聞販売店で買ったチケットには、通常の開場時間前のジャイアンツのバッティング練習の見学券も付いていた。第47回「動かない新幹線」でも書いたけれど、僕は出発前の新幹線や開映前の映画館で過ごす時間が好きだ。野球も同様で、カーンという乾いた打球音を聞きながら、のんびりと過ごす。スターティングメンバーがアナウンスされる頃には、ビール売りの女の子(かわいい!)を呼んで、1杯目を大ぶりのカップに注いでもらっていた。ひいきにしている高橋由と松本哲は控えで、少しがっかり。それでも、東京ドームで飲むビールはいつも格別だ。
 今日は、ジャイアンツが原監督が新人王を獲得して優勝した81年当時の、対する横浜DeNAベイスターズが大魔神佐々木とマシンガン打線で優勝した98年の復刻ユニフォームをそれぞれ身に着けてゲームを行う。
 ジャイアンツの先発のホールトンの立ち上がりが悪く、その後も投球のテンポが悪くてイライラする。しかし、打撃陣はよくつながって、毎回のように加点し9得点。ホールトンも、8回を投げきってフタを開けてみれば散発の3安打で、失点は苦手なラミレスに与えたソロホームランのみ。
 8回には僕と同じ専修大学出身の松本哲が代打で登場。ここ2年を不振の内に過ごしている彼は、少ない出場機会を生かさなければならない。打球は右中間を破り、目にもとまらぬスピードでダイヤモンドを駆け抜けると、三塁に達した。ビールがうまい!
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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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