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書く歩く(第64回 忠臣蔵‐①)


第64回 忠臣蔵‐①

 桜も咲こうという季節になんだが、『忠臣蔵』のお話である。『忠臣蔵』といえば、やはり赤穂浪士が吉良邸に討ち入る極月十四日、年末のイメージだ。
 しかし、古い2巻物の映画だと、前編は「花の巻」で、後編は「雪の巻」となる。これは、浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)が大名家の庭先で切腹する場面で桜が咲いていることと、討ち入りの場面の雪をそれぞれ象徴している。そんなわけで、桜も忠臣蔵とは縁があるということで話を進めていきたいと思う。

 以前は、年末年始によく忠臣蔵のテレビ時代劇が放映されたが、最近はあまりやらなくなった。そのせいか若い世代には、元禄赤穂事件を知らない人もいるそうだ。
 昨年末は、僕の気づいた限りでは、NHKの『薄桜記』と、NHK-BSで『元禄繚乱』が放送されている。それでも、前者は、赤穂浪士の吉良邸討ち入りは背景となっているだけで、大石内蔵助も登場しない。後者は亡くなった歌舞伎俳優、18代目中村勘三郎の追悼番組として急遽放送されたものだ。
 勘三郎は主人公の大石内蔵助を演じている。
 忠臣蔵のドラマを見ていると、大石は浅野の家臣らから「大夫(たいふ、たゆう)」と呼ばれる。「大夫」は家老を敬っていう言葉だが、最上位の遊女を意味する言葉でもある。大石は、敵の目をあざむくためとして、色里に足しげく通うので(最近は、単に遊び好きだったという解釈が多い)、この呼称には艶っぽい響きが感じられる。ことに、勘三郎の内蔵助は豪快な遊びっぷりが伝えられる故人の素顔も透けて見えて「大夫」が実に似合っていた。

 多くの場合、忠臣蔵の主人公は大石内蔵助であるけれど、群像劇なので魅力的な人物が多く登場し、見せ場が演出される。
 僕が好きなキャラクターの一人が脇坂淡路守(わきさかあわじのかみ)だ。1961年に東映創立10周年記念としてオールスターで制作された『赤穂浪士』では、中村錦之介が演じていた。大川橋蔵の浅野内匠頭とは親友という設定である。
(つづく)

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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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