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書く歩く(第7回 影絵への拍手 ― ①)


第7回 影絵への拍手 ― ①

「趣味は?」ときかれたら、「映画」とこたえている。映画鑑賞なんて趣味のうちに入らないという向きもあるが、僕にとってはお酒を飲むこととならんで(お酒を飲むことなんて趣味のうちに入らないという向きもあるが)いちばんのたのしみだ。
 最近は映画館に足を運ぶこともあまりなくなってしまったけれど、WOWOWなんかで録画したのをよく観る。どういう時に観ているかというと、前回にも書いたが、毎朝エアロバイクのトレーニングをするので、もっぱらその際だ。
 トレーニングは30分間おこなう(ちなみに、そのあとで腕立て伏せを30回、膝をたたんで足を上げた姿勢で腹筋運動を100回している)から、1本の映画を何回かに分けて観ることになる。映画が観たいがために、このトレーニングが継続されているようなところもある。
 観るのは外国映画である。負荷がかかったペダルをこぐ、しゃこしゃこという音にじゃまされて台詞が聞こえにくいため、字幕付きのほうが都合がよいのだ。ジャンルは問わない。
 もちろん、昔からこんな変則的映画鑑賞法を実践してきたわけではない。かつては映画は映画館で観ていたわけで、ずいぶんとぼう大な時間を、あの暗闇にたれこめてきたことになる。
 頻繁に通っていたのは10代の半ば〜20代の前半にかけてで、特に高校時代は耽溺していた。年間100本は観ていたのではないか。
 いまではなくなってしまったけれど、もっぱら2本立ての料金が学割で400円くらいの名画座と呼ばれる二番館で眺めていた。当時はTSUTAYAもなかったし、DVDはおろか家庭用ビデオデッキも普及していなかったのである。
 僕は「ぴあ」で観たいプログラムを見つけては、週末ごとに名画座のある町へと足を運んだ。じつは休日だけでなく、よく学校をサボって通ったりもした。
 そのころに観た映画と、名画座のある街を歩いた記憶は、いまもたいせつな宝物だ。
(つづく)

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上野 歩(うえの・あゆむ)

1962年東京生まれ。作家。『恋人といっしょになるでしょう』(集英社)で小説すばる新人賞受賞。文芸社にて執筆アドバイザーを務める。新感覚サイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』を文芸社より刊行。
公式HP《上野亭かきあげ丼》
http://www.uenotei.com



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