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書いた人のわ(『私が作品を書く理由』 西山美知子)

『私が作品を書く理由』 西山美知子
 毎日の生活の中に、家事の細々した仕事が私を待っている。
 そして、家族が居る。それは夫という代物。二人の子供は独立して家を出て行った。が、夫の為三度三度の食事を作る。定年を迎えて、毎日家にいるのだから、手を拱ぬけない。
 限られた生活費の中から、工面をして、少しでも美味しい物を作りたい。
 家庭菜園で新鮮な物を食べさせたい。そんな中で、野菜の生命力驚ろいてしまう。ハッポースチロールの中の野菜の芽が、土を持ち上げるのだ。
 こんな凄い事、紙の上に書いておかなきゃ。
 夕暮れ時、スーパーに走る。台所の水で濡らした手を拭き乍らの道すがら、

「えっ?こんな近くに星が沢山・・・」
 それは、山の木々の間を縫って光る木漏れ日だった。これも、紙の上に書いておかなくては。
 もう、沢山あり過ぎてどうしよう。
 風も吹いて、私の耳元で髪を揺らし、詩や音楽を奏で始める。
「この桐の木、大水になった時、ここに流れ着いて、大人になったの」
「凄く大きな桐の木ねぇ 花の房も立派だこと」と、私。
「風が吹くと、ざわざわと鳴るのよ」
「風と川音と交って・・・」
 ここの、川べりの農家の主婦が言う。
 ああ、この事も、私の作品。ただ聞き流しては、勿体ない。詩にもなるし、短歌や俳句にもなる。
 なんと、素敵な物が目の前に転がっているのだろう。都会の喧騒の中、車の排気ガスの中にだって、詩もあり歌もある。
 だから、私は作品を書く。
 素直に自分の気持を、原稿用紙に書いて行くと、枚数も自然と増えて行き、「これ、本にしてみようかな」
 と、思うようになる。文章に自信がなくても、勇気を出して、出版社に聞いてみると、出版社の方が優しくアドバイスをしてくれる。
 自分の本が、出来上って行く過程で、やがて、本の厚みと、本をすっぽり包むカバーや帯に、プロの筆が加わって素敵な物になる。
 手にすると、ずっしりと重く思えて、自分の一生の宝物となってゆく。

西山美知子(にしやまみちこ)
1939年、神奈川県鎌倉市生まれ。
神奈川県立藤沢高校卒業。
1998年より5年間、PHP研究所の通信ゼミナール文章添削講師を経て、現在に至る。
著書に小説集『崖のある町』(私家版)。

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風の中の母
ある日、著者の目に飛び込んできた小学生の言葉。「本当にあったお話を読みたい」その想いに応えるために、この物語が綴られた。「今、書き残しておかないと、その頃のことを知っている人が、毎日減っていってしまう」という切実な思いが生んだ本書は、戦争の悲しさと平和な世の尊さを伝える。「戦争が終わったら、向日葵の花を持って、レイテ島に行こう」時代を超えた親子の絆の深さが胸を打つ小説。


スイートピーの花は虹の色
寂しくも懐かしい、あの日の風景……風の音のように心に沁み入る静けさと悲しみ。純粋な子どもの目で描きだす、不可思議な世界観。心地よい風と雲が風景として流れる、小川未明や宮沢賢治を思わせる作品群は、“大人のための童話集”。──疎開先での兵隊さんとの会話や秘密の洞穴への小さな冒険を描いた表題作「スイートピーの花は虹の色」4編を収載した短編集。

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