
「愛しき子供達へ」 速藤智彦
突然、小説を書き始めた。
今まで一度も小説など書いた事もなかった。それでも心の中に、『書きたい!』という感情がふつふつと沸き上がり、気が付けば8年が過ぎた。
それこそ最初は小説の書き方も解らずに、ただ自分の好き勝手に書いていたような気がする。今思うと、本当に恥ずかしい。1冊目の本が完成、刊行された時、『これで夢が叶った』、そんな気持ちになった。それがどういう訳か、5作品も刊行するとは、自分自身、夢にも思っていなかった。「何故?」と聞かれると返答に窮するが、自分の心の中に湧き上がってくる感情を、文字という手段で表現していく事にすっかりハマってしまった、そう答えるしかない。
それにしても元来、飽き性の私がよく8年も続いたものだと思う。未だに私自身がそれをいちばん信じられずにいる。
小説を書いている最中に、「何でこんな苦労をしてまで書いているんだ!」と叫びたくなる事や、このまま書くのを止められたらどんなに楽かと思う事が、1度や2度ではなかった。なのに書かずにいられないのは、最後の一文字を書き終えた時の何とも言えない、『心の満足感』だと思う。その満足感が身体全体を駆け巡り、得も言われぬ陶酔の心境に達する。その瞬間のエクスタシー感こそが、作品を書き続ける原動力なのかもしれない。
そんな私が懲りもせず今度又、本を出版する事になった。
これで6作品目になる。いつも思うのだが、小説を書き上げた時にはこれこそが、私自身の最高傑作!この小説を書かずにしてはいられなかった、と。
でも、そんな激しい思い込みも時間が経つにつれ、次第にある感情に変化していく。その感情とは、悩み、苦しみ、七転八倒しながら書き上げた私にとっては、どの作品も愛しい子供のようなもの。産声をあげたものの、その先の行く末がどうなるか、戸惑っている私の子供達。
そんな子供達を、優しく、いつも温かい目で見守ってくれている文芸社の各部署の方々。そんな大勢の人々に見守られながら、私の子供達は、覚束ない足取りでよちよちと歩き始める。
いつかそんな子供達が成長し、りっぱに独り歩きする日が来る事を夢みながら、今日も私は小説を書き続けたいと思っている。
今まで一度も小説など書いた事もなかった。それでも心の中に、『書きたい!』という感情がふつふつと沸き上がり、気が付けば8年が過ぎた。
それこそ最初は小説の書き方も解らずに、ただ自分の好き勝手に書いていたような気がする。今思うと、本当に恥ずかしい。1冊目の本が完成、刊行された時、『これで夢が叶った』、そんな気持ちになった。それがどういう訳か、5作品も刊行するとは、自分自身、夢にも思っていなかった。「何故?」と聞かれると返答に窮するが、自分の心の中に湧き上がってくる感情を、文字という手段で表現していく事にすっかりハマってしまった、そう答えるしかない。
それにしても元来、飽き性の私がよく8年も続いたものだと思う。未だに私自身がそれをいちばん信じられずにいる。
小説を書いている最中に、「何でこんな苦労をしてまで書いているんだ!」と叫びたくなる事や、このまま書くのを止められたらどんなに楽かと思う事が、1度や2度ではなかった。なのに書かずにいられないのは、最後の一文字を書き終えた時の何とも言えない、『心の満足感』だと思う。その満足感が身体全体を駆け巡り、得も言われぬ陶酔の心境に達する。その瞬間のエクスタシー感こそが、作品を書き続ける原動力なのかもしれない。
そんな私が懲りもせず今度又、本を出版する事になった。
これで6作品目になる。いつも思うのだが、小説を書き上げた時にはこれこそが、私自身の最高傑作!この小説を書かずにしてはいられなかった、と。
でも、そんな激しい思い込みも時間が経つにつれ、次第にある感情に変化していく。その感情とは、悩み、苦しみ、七転八倒しながら書き上げた私にとっては、どの作品も愛しい子供のようなもの。産声をあげたものの、その先の行く末がどうなるか、戸惑っている私の子供達。
そんな子供達を、優しく、いつも温かい目で見守ってくれている文芸社の各部署の方々。そんな大勢の人々に見守られながら、私の子供達は、覚束ない足取りでよちよちと歩き始める。
いつかそんな子供達が成長し、りっぱに独り歩きする日が来る事を夢みながら、今日も私は小説を書き続けたいと思っている。

速藤智彦
1955年3月24日生まれ。東京都出身、埼玉県在住。
日本デザイナー学院 レタリング科卒業。
1955年3月24日生まれ。東京都出身、埼玉県在住。
日本デザイナー学院 レタリング科卒業。
『きみといた夏』
県予選二回戦で負けた野球部の剛たち。これからは進学に向けてラストスパートが始まるのだが、野球部仲間の呼びかけで「引退セレモニー」をすることに。だがそのイベントが思わぬ事態を引き起こし……。さらに幼なじみの千夏の存在も除々に気になりだし……。終わりが近づく高校三年生の夏。野球部を引退した剛はこの夏をどう過ごすのか!? 青春真っ只中の主人公・剛が、ひと夏の経験を通して成長していく、爽快ストーリー小説。
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妹、晴美の六回目の誕生日。兄の僕は、パパの運転する車でママや妹と共にドライブを楽しんでいた。しかし、その時の事故で、晴美は左足を失ってしまう。それでも必死にリハビリを続け、小学校へと通い始める晴美だったが……。突然の悲劇に見舞われ、義足での生活を余儀なくされた少女と、彼女に影響されていく子供たちを描いた四つの物語。兄と妹のジャンケンをきっかけに起きる感動的なストーリーを収録した連作短編集。
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『月曜の朝に微笑みを』
野本一彦、48歳。彼は一年半前に突然リストラされた。妻がパートに出た後、“主夫"として家事に精を出す毎日だが、なかなか就職先が決まらない。そんなある日、一彦は電車の中で急病の男を助けるのだが…。中年男性を主人公に、人生の悲哀と家族の絆を描く珠玉の短編小説6編を収録。





