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執筆虎の巻(エッセイ篇/第一回 『テーマを明確に伝えるための心得とは?』)

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「コロ」のこと
ペンネーム  北野辺人
 私が高校生のころまで過ごした、弘前市の実家では、クロ、コロ、チロの三匹の犬を飼った。三匹に血縁はなく、初代のクロから順に、我が家へもらわれてきた。皆雑種だ。初代のクロは、気性が荒く怪力で犬用の鎖を引きちぎって、家の内外をかまわず走り回るので、手に余るためか、「猟犬にするから」と親が言って、どこかへ連れて行った。
 三代目のチロは、白くて短い毛の犬で、間の抜けた顔をしているが、そのとおりに猫をも恐れるお人好しの犬だった。それが彼なりの平和主義なのだろうが、長生きはできなかった。「豚毛」とかわいがられていたのに。
 二代目がコロであるが、コロッケのような、赤茶の毛色からコロと名付けられた。物静かな犬で、耳のたれた頭を、少し右に傾げて座っている様は、思案する哲学者のようでもあった。私の実家は田舎の集落であったから、春秋の彼岸には、坊様がお経を唱えて家々を回る。各家で米などを渡すのだが、コロはこの読経に「うぉーん」と答える。坊様が来ると必ずそうするので、坊様もほかの家よりも一節長く、コロの前でお経を唱えていくようになった。
 コロは、四、五歳で死んだ。元気なく横になった後、数日のことだった。登校前、コロは緑色のゴミ袋に入れられていた。半開きの目にはもう、物思う光はなかった。下校すると、コロの姿はなかった。秋の彼岸の後、燃えるゴミの収集日のことだった。(コロが日々、思索にふけった内容は、私も誰も知るよしもない)

 著者が高校生時代までに過ごした実家で飼っていた愛犬の思い出を綴ったショート・エッセイじゃ。歴代の三匹の中でも二代目のコロへの思い入れがあるんじゃろうな。う〜む、物静かな性格を伝える「思案する哲学者のよう」という描写がなかなか良いのぉ。彼岸に家を訪れる坊様とのエピソードもユーモラスで、ほのぼのとした情景が好印象じゃ。
 ただ、表題を『「コロ」のこと』として、コロを中心に綴ってはおるが、他の二匹ついても紹介したくだりは蛇足の感があるのぉ。三匹の犬がいたことを紹介してすぐに、一番思い出深いコロの話を切り出したほうが全体のまとまりもよく、読者もコロの存在に集中して読めるはずじゃ。コロへの思い入れをより明確に読者に伝えるために、話の枝葉を切り落とすことがポイントじゃな。また、コロの死について語ったラストは愛犬家にはやや残酷に映らんか心配じゃのぉ。その顛末を語っただけではそっけなく後味がよくないのじゃ。コロがどのような犬であったかは語られているが、著者にとってどのような存在であったかが十分に描かれていないことも原因のひとつじゃろうな。そうしたコロに対する想いがうかがえるくだりがあってこそ、コロの喪失が著者にもたらしたものを読者も感じ取ることが出来るはずじゃ。事実だけでなく、情感をしっかりと表現しなければならんぞ。

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