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執筆虎の巻(ポエム篇/第二回 『詩の性格を決めるのは?』)

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 唐突だが、個性的な詩とはどんなものじゃろう。まず思い浮かぶのは、テーマが変わっているとか、レトリックが面白いとかいったところじゃろうか。レトリックというのは、簡単に言えばいかに効果的に表現するか、ということじゃな。前回採り上げた比喩もその一つじゃ。意表を突いたテーマは確かに目を引くが、その面白さを活かすも殺すもレトリック次第といえるじゃろう。このレトリックを磨くには、いろいろな物を読んで語彙を豊かにし、言葉の引き出しを多く持つことが大切じゃ。

 しかし、詩の性格を左右するのは、何もテーマやレトリックばかりではない。同じテーマであっても、書き手によって作品の空気が異なってくることはわかるじゃろう。同様に、同じ作者の作品でもまったく異なる雰囲気を醸し出すことは可能なのじゃ。

 例によって課題を出そう。タイトルは『言えない(言えなかった)言葉』。以心伝心とは言うが、何にしてもきちんと言葉にしないと相手に伝わらんからのう。ところが肝心な時に限って言葉が出ないのは誰もが経験したことがあるんじゃなかろうか。それを諸君ならどう表現するかのう?


① 結局 言えなかった/どうしても動かない 舌の上で/「ありがとう」は死んだ言葉の屍が/心の中で また少し/堆(うずたか)くなっていった
② 私の中から、ほら/「好き」が溢れそう/なのに あぁ潰れて苦い泡になっていく 飲み込むことも 吐き出すこともできないよ/「好き」をどうすればいい?
③ わかってるのに 「ごめんなさい」が言えない/ますます 自分を嫌いになる 言わないんじゃない 言えないんだ/そんな 言い訳すらできない自分って…


 どれも肝心なことを口に出せないジレンマが綴られているが、微妙に違うのがわかるじゃろう。その違いは、まずは時制にある。①は過去、②は現在進行形、③も現在だが習慣的な色合いが濃い。そうした時間的な違いに加えて、さらに異なる部分があるんじゃ。それが今回のポイントだが、わかるじゃろうか?

 上の三つは、モチーフと自分との距離に違いがあるんじゃ。①は過去の自分を客観的な視点で語っていて、②は今、この瞬間の自分の状況をそのまま表現している。それに対し③は自分自身の内面に目が向いて、自己嫌悪感をクローズアップしている。モチーフというのは、ここでは肝心な事を肝心な時に言えないことやそれに対する自分の気持ちであり、表現上の三つの違いは、それに向き合う作者のスタンスの違いと言ってもいいじゃろう。
 もう少しいうと、①はもう取り戻せないことの空虚さを捉えた思索的な詩、②はリアルタイムのもどかしさをストレートに表わした感情的な詩、③は自分自身への悔悟を表わした内省的な詩ということができるじゃろう。

 同じようなテーマや情景を描くとしても、どんな方向から、またどんな距離でアプローチするかによって雰囲気はまったく違ってくるのじゃ。つまり、対象の捉え方、切り口の違いによって、詩の性格は変わってくるということじゃ。

 生(なま)の気持ちは大切にすべきじゃが、「言うべきことが言えない。辛い、悲しい」と嘆くだけでは、詩とはなりえないし、個性という点でも物足りない。モチーフとなる出来事や自分の気持ちを、どのような空気を持つ詩に表わすか、その方向性を定めた上で、対象とどう向き合うのか、スタンスの採り方を工夫してみるといいじゃろう。同じテーマの作品を、スタンスを変えて書いてみるのはいい練習になるはずじゃから、ぜひ挑戦してもらいたいものじゃな。

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