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執筆虎の巻(童話編/第二回 『主人公とストーリーを描くポイントは?』)

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「リカちゃんと魔女」
ペンネーム  うみくじら
 習い事ばかりの毎日がすっかりいやになったリカちゃんは、ある日、家を飛び出しました。ひとりで町をとぼとぼ歩いていると、「だれにも見つからないステキな所があるよ」とおばあさんに声をかけられました。そのステキな所とはなんと“魔女の家”でした。おばあさんは魔女だったのです。
「あんたの家には、もう二度と帰れなくなるけどいいのかい?」と聞かれましたが、こっちの方がきっと楽しいと思ったリカちゃんは、“魔女の家”で暮らすことにしました。けれども、“魔女の家”は魔法でだれにも見えないため、遊びにくる人はいません。リカちゃんはいつもひとりぼっちでした。そして、「つまんないなぁ。やっぱり自分の家に帰りたいなぁ」と思うようになりました。

 そんなリカちゃんを助けようと、子ネズミがあらわれました。
「魔女はね、いつも一人ぼっちでさみしいからリカちゃんを帰らせたくないんだ。でも、魔女は美しいものが苦手だから、その弱点をつけばうまくにげ出せるよ」
「美しいものかぁ……とにかく、ここを出て探してみよう!」
 リカちゃんは子ネズミにお礼を言って、さっそく“魔女の家”を飛び出しました。すると、庭に生えた草がしゅるしゅると伸びてリカちゃんの体に巻きつきました。魔女の魔法のしわざです。一歩も動けなくなってしまったリカちゃんは大声で泣き出しました。そこへカミキリムシがやってきました。
「リカちゃん、泣かないで。いま助けてあげるから」
 カミキリムシは体に巻きついた草をかみ切ってあげました。「わぁ! ありがとう」と言ってリカちゃんは走り出しました。ところが、今度はほうきに乗った魔女が追いかけてきました。
「もう二度と帰れないって言っただろう。逃がしはしないよ」
 魔女はキーキーと笑いながら、あっという間にリカちゃんに追いついてしまいました。もうダメだとあきらめかけたとき、魔女のマントからギラギラと光る小さな杖が落ちました。
「その杖を空にかざして“おとなにしてください”って3回となえるんだ!」
 リカちゃんの足元でぴょんぴょんとはねているカエルが教えてくれました。その言うとおりにすると、リカちゃんは魔法によって大人の女性に変身しました。
 ぱっちりと大きい目、うるんだ唇、つやつやした肌、背はすらっとしていて、腰元まで伸びたきれいな髪が風にふわりとなびきました。その美しい姿を見た魔女はたまらず丘の上ににげてゆきました。

 今回の作品は、魔女の家からの脱出劇を描いたものじゃな。ちょっとピンチにも見舞われるが、動物たちの知恵や力を借りて無事に脱出。誰にも見えず、一度入ったら帰れないという魔女の家の設定、美しいものが苦手という魔女の弱点など、色々と考えられておる。
 しかしじゃな、どうもわしは素直にリカちゃんを応援できんのじゃ。そもそもリカちゃんが魔女の家に来たのは、「習い事ばかりの毎日がすっかりいやになっ」たから。魔女の家から逃げ出そうとしたのも、退屈になったから。これでは単にわがままな女の子にしか思えんのじゃ。例えば、家を出たことで自分の家のよさがわかり、やっぱりママが恋しくなって魔女の家に来たことを後悔し、自分のしたことを反省したという切実な気持ちがあれば、読者も共感してリカちゃんを助けたいと思うんじゃなかろうか。
 それと、脱出劇自体もちょっと物足りんのう。動物たちの知恵や力、魔法の力で逃げ出すことに成功しており、リカちゃんが自分の力で解決したことが何もないからじゃ。困ると誰かが助けてくれる、運よく魔法の杖が手に入るというように、なんとも都合よくことが運ぶ。これでは、まんまと逃げ切ったという印象しか残らん。リカちゃん自身に何らかの試練が与えられ、それを自分の知恵や力で解決するというエピソードがあれば、無事脱出できたことの達成感も加わって、より感動的なラストになるはずじゃ。
 特に、主人公が読者対象と同じくらいの子どもである場合、いかに読者に共感させるかを考えなければならんぞ。主人公が困難を乗り越えて何かを学ぶ、そのとき読者も主人公と同じ何かを学ぶ、ということが大切なんじゃな。だからこそ、主人公の気持ちの変化や成長を、子どもにも分かるように描くことを忘れてはならんのじゃ。
 しかし、リカちゃんがおとなに変身して、きれいな女性になったからいいようなものの、もしそうでなかったら……、いや、これは余計な心配かのう?

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