自費出版・流通出版・執筆のことなら文芸社へ

自費出版・流通出版は気軽にSite執筆・出版の応援ひろば
よむ人からかく人へ。ここは表現する人を応援する著者のための『ひろば』です。ご相談・お問い合わせは…「なんでも相談室」へ

執筆・創作・自費出版・流通出版のことなら【気軽にSite 執筆・出版の応援ひろば】トップへ > 執筆虎の巻(童話編/第三回 『面白い設定を活かすための心得とは?』)

執筆虎の巻(童話編/第三回 『面白い設定を活かすための心得とは?』)

"
「よふかしいっか」
ペンネーム  糠田 釘子
くろいさんちは、よふかしいっか。
パパもママも、おにいちゃんのさくろうも、おとうとのたくろうも、くろいかいねこのクロも、いつもあさまでおきてあそんでる。
どうしてそんなによふかしなのか、それにはちょっとわけがある。

よふかしいっかのいえにすみついているまっしろおばけ。
まっしろおばけは、あかるくなってからうごきだす。
うるさくてねむれないおばけは、みんなはやくねてくれよ、といつもむなしくねがっていた。

そんなおばけのきもちもしらず、さくろうとたくろうは、なにやらそうだんをはじめる。
もうすぐママのたんじょうび。プレゼントはいったいなににする?
「ずっとつづくよるはどう?」
「ずっとつづくよる、そいつはすてき、でも、どこにあるの?」
「のぼるまえにたいようをつかまえてしまえば、ずっとよるがつづくじゃない」
「それはめいあん、そうしよう」

さて、よあけまえ。
さくろうとたくろうのふたりはおおなべをかついでうみへとむかった。
うみのなかからでてきたたいようを、ふたとなべではさみうち。
けれど、たいようはつかまらない。
「あしたこそ」
あくるひ、ふたりはパパもつれだし、おおきなあみをもってやまにむかった。
やまのなかからでてきたたいように、せーのであみをかぶせる。
だけど、たいようはつかまらない。
「あしたこそ」
あくるひ、クロのてまでかりて、あのてこのてでたいようをつかまえようとした。
しかし、たいようはつかまらない。
「あしたこそ」
ついにはママまでかりだして、いっかぜんいんで、
「あしたこそ」

さてさて、つきひがすぎた、よあけまえ。
よふかしいっかがたいようをつかまえにいくあしおとで、まちのひとたちはめがさめる。
「もうあさか」
うわさによると、100かいめのちょうせんで、いちどはたいようをつかまえたとか。
しかしそのころには、よふかしいっかはあさがだいすきな、まちいちばんのはやおきいっかになっていたとさ。

 今回の作品は、家族みんなが夜更かしが好きという、ちょっと変わった一家の話じゃ。夜がもっと続くようにと、夜明けに昇ってくる太陽を捕まえようとするがなかなかつかまらん。そんな太陽捕獲作戦に家族全員が熱中するうちに、いつのまにか町一番の早起き一家になっておったというオチが面白いのう。そもそもママの誕生日のプレゼントだったはずが、そんな期限も忘れて熱中し、挙句にママまで駆り出す始末。そんな本末転倒の展開が面白い。「あしたこそ」という台詞の繰り返しで、エスカレートしていく様を表現したところもなかなか上手いんじゃなかろうか。
 ただ、この話、ちょっと気になるところもある。冒頭で、「どうしてそんなによふかしなのか、それにはちょっとわけがある」とある。そんなふうに言われると、読者は当然「どんなわけだろう?」と思うはずじゃ。ところが、この思わせぶりな謎については、その後なんの説明もなく、話はどんどん進んで終わってしまうのじゃ。これでは、読者はちょっとすっきりしない。なにやらモヤモヤしたものが残ってしまうじゃろう。謎や秘密をほのめかすのであれば、きちんとそれを解決してみせなければ話はまとまらん。謎や秘密に特に意味がないのであれば、そんな話は持ち出さんほうが良いじゃろう。
 それともうひとつ気になるのは、家に住み着いたという「まっしろおばけ」の存在じゃ。夜が好きな人間の家族に対して、明るくなってから動き出すおばけという設定は確かに面白いが、このキャラクターは最初に紹介されただけで、物語の上ではなんの役割も果たしておらん。
 謎や秘密にしても、キャラクターにしても、物語の中で意味のあるものでなくては、話がごちゃごちゃしてしまう。そんなわけで、この作品は何か気にかかる部分が残る、ちょっと中途半端な話になってしまったのが惜しいところじゃ。面白い設定やアイデア、エピソードは確かに重要じゃ。けれども、ストーリーの起承転結にうまく関係づけることが必要ということじゃな。
 それにしても一家が早起きになって、まっしろおばけはどうなったんじゃろう。やっぱり気になるところじゃな。

"



バックナンバー


文芸社の気軽にSiteへお越しの方へ
【気軽にSite執筆・出版の応援ひろば】では自費出版・流通出版のご相談を随時受付けています。また出版だけではなく執筆・創作のヒント、きっかけになる情報の提供もしております。文芸社の気軽にSiteでは書きたい人、これから執筆・出版に挑戦したい人の活動を本気で応援しています。