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執筆虎の巻(エッセイ篇/第四回 『読者の興味を引くためには?』)

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「エレベーター」
ペンネーム  加藤あずさ
 先日のニュースでエレベーターの事故についての報道があった。エレベーターに事故が起きるなど考えたこともなかった。
 いや、エレベーターはすごい道具だという思いを常にもっている。スイッチ一つで大きな箱が上がり下がりし、乗り降りできるなんて、ほんとうに素晴らしい。
 私たちは小学校の理科で電気の流れについて学んだ。電池があって電線があって豆電球があって、それを一つの回路で結ぶと豆電球が点灯する。間にスイッチをはさんでそれを作動させると豆電球は点いたり消えたりする。
「回路がつながると電流が流れるのです」
と先生は教えてくださった。
 なるほど、一つの回路ということはしっかり頭に入った。でも、それがエレベーターの仕組みとはどうしてもつながらないのだ。
 地上三十階、地下三階のビルがあるとする。エレベーターが六機、三機ずつ向かい合わせに並んでいる。
 ビルに入ってまず上に行くボタンを押す。
そうするとその階の上行きのボタンは全部点灯する。そしてエレベーターの中の一番近い階にいるエレベーターが一階に近づいてくる。そして、音と光りで到着を教えてくれる。ドアが開くとほかのエレベーター全部のボタンは消えて一件落着となる。
 押した所でない機械でもすぐに呼びかけに答えてくるというのが不思議でならない。これが小学校で習った電気回路と同じとはどうしても思えないのだ。
 私には電気の小人がエレベーターの陰を走り回っているようにも思えてくる。

 都市部やマンションに暮らす者ならば日常的に使うエレベーターを題材にした作品じゃ。当たり前のように使っている乗り物じゃが、なるほどよくよく考えてみればうまくできておるのぉ。今回の作品は、一般の人が普段あまり気にかけないところに着眼した点、そして、それに対して自分なりの感覚を前面に出して綴った点は良かった。エレベーターの動作が「不思議でならない」という素朴な疑問に共感する読者もおるじゃろう。ただ、せっかくのユニークな着眼をもっと活かすこともできたんじゃなかろうか。
 この作品は、「エレベーターはすごい」そして「不思議」という話になっておる。「言われてみれば」「確かに不思議」と読者に感じさせることは期待できる。ただ、これだけではやはり「面白い話」にはなりきっとらんように思うんじゃ。せっかく疑問を抱いたのだから、ちょっと調べてみればよかったんじゃなかろうか。インターネットもあるし、メーカーに直接問い合わせてみてもいい。エレベーターの不思議に気づく人は確かに少ないだろうが、それを調べてみようという人は更に少ない。そこで作品の希少性、独自性が高まるのじゃ。
 何も素人がすべてを解明してみせる必要はない。およそこういうことになっているらしいという事だけでも、普通の読者にとっては新鮮な話題じゃろうし、知的好奇心の刺激となるはずじゃ。読者がより興味を覚える新しい話題を提供することで、面白さは増すものじゃ。無論、エッセイの面白さは知識だけではない。書き手のキャラクターや表現の仕方といった要素もある。ただ、これらは書き手の性格やセンスといった“才能”に大きく関わる部分であるし、読み手の好みも分かれる部分でもあるじゃろう。しかしながら、知識や経験の面白さは書き手の“努力”次第で上積みできるし、それが豊かであれば自ずと面白さは増すものじゃ。人を楽しませるものを書くためには、調査や取材といった準備をするという姿勢も大切ということじゃ。
 しかし、エレベーターといえば、わしも気になっていたことがあるんじゃ。あの扉は内側から見るといっしょに移動しているはずなんじゃが、外側からみると移動しておらん。あれはいったいどうなっておるんじゃろうな。

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