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執筆虎の巻(「作品講評」篇/第十四回 『自分の中のテーマを追求する③』)

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「作品講評14」
 
これまでの2回、「テーマの追求」という話をしてきたわけだが、今回は「テーマの切り口」ということについて話してみよう。今回取り上げたのは、『寅さんと仏教』(作・横山秀樹)という作品じゃ。これは、いわゆる映画評論なんじゃが、そのタイトルを見ても「おや?」と思わせるものがある。さて、その内容がどんなものか見てみよう。

表題にある「寅さん」はもちろん、“人呼んでフーテンの寅”こと車寅次郎。すなわち、これは山田洋次監督の代表作『男はつらいよ』シリーズを取り上げた映画評論というわけじゃ。寅さんと言えば、全国のファンから圧倒的な支持を集める人気作の主人公であり、それについて論じた本なら掃いて捨てるほどある。ただ、本作がユニークなのは、表題にある「仏教」の視点で論じていることなんじゃ。実際に目次を開くとそこには、「縁起」「空観」「慈悲」などの仏教用語が並んでおる。

著者はいうまでもなく『男はつらいよ』のファンであり、映画は元より寅さんに関連する書籍も数多く読んでいる。そして実は、あるお寺の副住職でもあるんじゃ。つまり“寅さん通”にして“仏教通”、その二つの知見が活かされて、この著作は独自の映画評論となっているわけじゃな。

寅さんが恋をするものの成就しない、これが『男はつらいよ』シリーズにお馴染みのパターンなのじゃが、仏教では恋愛は煩悩の一つであり、否定的に見られる。それは憎しみと背中合わせでもあるからじゃ。ところが寅さんの場合、失恋してもその愛が憎しみに変わることは決してない。むしろ、相手の幸せのためにひたすら奮闘する。「相対的執着心を無くし、それを絶対的にいとおしむものは慈悲という」と、著者は述べている。理屈だけで説明されるとちょっとわかりづらい気もするが、寅さんがしていることがまさにそれ、「慈悲の極み」と言われれば実感が湧く。つまり本作は、寅さんを実例とした仏教入門書という面もあるわけなのじゃ。

同じテーマでも、ちょっと切り口を変えてみると違った発見があり、新たな面白味も生まれる。ストレートに論じるのもいいが、テーマへのアプローチを工夫すると、また新鮮味が備わるということじゃ。

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