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執筆虎の巻(「作品講評」篇/第十五回 『自分の中のテーマを追求する④』)

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「作品講評15」
 
これまで自分の中のテーマの追求について考えてきたわけだが、自分なりに一つのテーマをとことん追い求めていくと、当然知識や経験が増えてくる。今回紹介する『味毒三昧』(作・西尾広弥)のように、堂々たる大人の風格で「ウンチク」を傾けられるようになると立派なものじゃ。

サブタイトルは「探偵小説で学ぶ、大人の男の英文読解講座」。アメリカの大学院で学んだ著者は英語に堪能で、チャンドラーをはじめとする探偵小説を原文で読みこなしている。しかも作家の文章スタイルに徹底的にこだわり、その特徴を明確にし、且つ探偵たちの心の動きや「想いの道筋」にまで迫るという読み方をしているのじゃ。本書では、アメリカの探偵小説の中から「ちょっといい文章」をピックアップして、原文を参照しながら詳しく解説している。「味毒」というのは探偵たちの台詞にはしばしば強烈な「毒」が含まれているからで、著者は自分をその「中毒者」と呼んでいる。どうじゃ、英文読解と銘打っていても受験参考書とは一味違うことが予想できるじゃろう?

本書での英文法的な説明は非常に分かり易い。しかし、単に英語を日本語に置き換えるだけでは著者の言う「味毒」の醍醐味はとても味わえない。探偵たちは得てして社会的地位や名声とは無縁であり、アルコールに溺れる者もいる。が、自分の信ずるものを守るためには決して怯まない。時には愛する女に敢えて別れを告げたりもする、その孤独な姿に痺れてこそ、「味毒」が可能となるというわけなのじゃ。著者の含蓄のある分析はあたかも作者や探偵自身が乗り移ったかのようで、どこを採っても頷かされる。

原文の持つ「毒」が著者というフィルターを通して日本語に翻訳されると、そこに込められた人間や社会の真実・裏側まで見えてくる。「味毒」の面白さを伝えたいという著者の熱意は、時に浅薄な翻訳への批判ともなるわけだが、それもこれも探偵小説というテーマを愛すればこそ。どれ、著者の指摘を念頭に置いて改めて『プレイバック』を紐解き、マーロゥの「毒」を味わってみようかの。

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